腰痛診療ガイドライン2012(治療編③)

日本整形外科学会(日本腰痛学会)が実施している最新の「腰痛診療ガイドライン2012」についてお話しさせて頂きます。

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「腰痛診療ガイドライン2012」の「治療編③」についてお話しさせて頂くのですが、その前に「エビデンス」という言葉があります。

エビデンスとは、証拠(しょうこ)・根拠(こんきょ)・証明(しょうめい)・検証結果(けんしょうけっか)などという意味ですが、医学においては、その治療法が選択されることの科学的な根拠・臨床(患者様に接して診察・治療を行うこと)的な裏づけをいいます。

エビデンスには、グレードA~Iという5段階評価というものがあります(以下参照)。

・グレードA ⇒ 行うよう強く推奨(すいしょう)する、強い根拠に基づいている
・グレードB ⇒ 行うよう推奨する、中等度の根拠に基づいている
・グレードC ⇒ 行うことを考慮してもよい、弱い根拠に基づいている
・グレードD ⇒ 推奨しない、否定する根拠がある
・グレードI ⇒ 診断基準を満たすエビデンスがない、あるいは複数のエビデンスがあるが結論が一様ではない

 

エビデンスは、患者様のデータ・比較試験などで詳細にだしていくものです。

しかし、100%という結果は存在しませんので、頭に入れておいてください。

では本題に入り、「腰痛診療ガイドライン2012(治療編③)」のエビデンスについてお話しさせて頂きます(下記を参照)。

 

今回のエビデンスの内容は「運動療法(うんどうりょうほう)」で、まず運動療法には様々な方法があり、大きく分けて8種類存在します。

・通常の活動性の維持(日常生活などでの通常の活動を行うように勧めるなど)
・ストレッチ
・筋力強化
・有酸素運動(ウォーキング、ランニング、エアロバイクなど)
・アクア(プール内でのリハビリ)
・腰の安定性を高める運動(コアトレーニング、ヨガなど)
・固有受容促通(こゆうじゅようそくつう)・共調運動(PNFなど)
・腰椎体操(マッケンジー体操、ウィリアムス体操など)

になります。これを踏まえてエビデンスをご説明させて頂きます。

 

Q.腰痛に運動療法は有効か?

① 急性腰痛(発症してから4週未満)には効果がない(グレードB(中等度の根拠))

② 亜急性の腰痛(発症してから4週~3ヶ月)に対する効果は限定的である(グレードC(弱い根拠))

③ 慢性腰痛(発症してから3ヶ月以上)に対する有効性には高いエビデンスがある(グレードA(強い根拠・強く推奨する))

④ 運動の種類によって効果の差は認められない(グレードB(中等度の根拠))

⑤ 適切な運動量、頻度、期間については不明である(グレードI(根拠がない))

 

①の急性腰痛に対する運動療法は、治療しない群と比較して痛みの軽減に関しては差がなく、また、治療した群と比較しても差がないという報告があります。

痛みだけでなく機能の改善効果も認められなかった報告もあります。

したがって、急性腰痛に対する運動療法はあまり効果がないといえます。

 

②の亜急性の腰痛に対する運動療法も①同様に効果に差がないという報告があります。

しかし、生活レベルの段階的に活動性を増やす運動療法(運動療法と言っていいのか微妙ですが)は、通常の治療に比べて職場における腰痛による欠勤日数を減少させる報告があります。

すなわち、腰痛があっても生活レベルで動かしたほうが良いということがいえます。

 

③の慢性腰痛に対する運動療法は、他の治療群と比べて、痛みや機能の障害の改善に効果がある、そして、運動療法開始後1年以内では欠勤日数を軽減させ、職場復帰率を増やす効果があるという報告があります(しかし、高度な機能の障害有している群や障害者の支給を受けている群では有効性は認められない報告もあります)。

全身運動(有酸素運動)は長期間にわたり機能の障害の軽減に有効であった報告があります。

また、家庭で行う全身運動(有酸素運動)にも、痛み止めの薬の使用量の減少や気分の改善などの効果があると述べられ、そして、全身運動による合併症(がっぺいしょう)や副作用の報告はないとしています。

体幹の筋力強化(回数10回)とストレッチ(最低1日2セットを週1~2回)を行わせた結果、痛み止めの薬を服用している群と比較して、明らかに運動群の方が良好であったという報告があります。

運藤療法の長期的な効果については、現時点では明らかではありません。

以上のことから、慢性腰痛には有酸素運動、体幹の筋力強化、ストレッチの運動療法は効果が高いといえます。

 

④の運動の種類による効果の差は、最初にお話しさせて頂いた8種類の運動に差がなかったという報告があります(微妙な差はありますがほとんど差がありません)。

運動療法は単独で行われることもありますが、通常は他の治療と併用して行なわれることが多いです。

とくに近年では、認知行動療法(にんちこうどうりょうほう)といわれるものと運動療法を併用して行うと効果が高いといわれております。

 

最後の⑤に関しては、運動療法の頻度は週1~3日が推奨されていますが、確実なものではありません。

運動量、期間についてもエビデンスがなく、個人差もあるため確実なものはありません。

 

以上です。

参考にして頂ければと思います。

 

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