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「めまい」を発症された方は多いと思いますが、めまいを起こす疾患は多々あります。
その「めまい」を起こす一番多い疾患として良性発作性頭位めまい症(BPPV)というものがあります。医学的にはめまいを訴えている人の約50%の発症といわれており、すなわち、めまいを発症する半数はこの疾患ということになります。
耳石(耳の中にある数個の石)が何らかの原因で剥がれてしまい、頭の位置が変化して内耳にある後半規管または外側半規管が刺激されると、それに反応して、短時間の回転性めまいが生じる疾患
MSDマニュアル家庭版から引用
めまいの種類には回転性めまいと浮遊性めまいがあります。
回転性めまいとは、グルグル回っているようなめまいで、患者さんは「天井が回っている」、「世界が回っている」と表現することがあります。遊園地のコーヒーカップに乗った後、目が回って気持ち悪くなったりしませんか?それが、コーヒーカップに乗っていなくて起こる感覚と思ってください。
浮遊性のめまいは、表現的には「フワ~とする」、「フラつくような」めまいの感覚で血流に問題があることが多いです(必ずしもそうではありません)。
三半規管は3つありますが、耳石が剥がれて浮遊してしまう三半規管は、重力の関係で一番下にある後半規管(85~95%)が圧倒的に多いです。次に真ん中にある外側半規管(5~15%)です。
さらに、三半規管は左右1つずつあるのですが、右の後半規管に一番起こりやすいといわれています。
良性発作性頭位めまい症の症状は、典型的には頭を動かした時の回転性めまいですが、浮遊性めまいを自覚している人もいます。また、吐き気や嘔吐を起こすこともあります。
回転めまいが起こるケースは、寝ていて起きた時、低気圧の時(台風など)など突然発症することが多いです。
良性発作性頭位めまい症は、50~70歳代の女性に発症が多く、喫煙者、肥満者、高血圧、脂質異常症、脳卒中、片頭痛を持っている人、高齢者に多いといわれています。
良性発作性頭位めまい症は耳鼻科領域の疾患で、耳鼻科では画像検査で判断するのではなく、実際に頭を動かしてめまいの誘発を再現し、眼振をみて判断していきます(ディスクホールパイク検査)。
耳鼻科では、めまい止めの薬、吐き気や嘔吐がある場合はそれを抑制する薬を処方されます。お薬を服用続けていけば、めまいは少しづつ軽減していくことが多いです。
しかし、お薬だけでは良性発作性頭位めまい症の再発率が高く、根本的な解決にはならないことが多くあります。
根本的な解決方法としては、剥がれた耳石を頭を動かしながら後半規管内または外側半規管内を経由してめまい神経が刺激されない場所(卵形嚢)に戻す耳石置換法という方法をおこないます。
耳石置換法の良性発作性頭位めまい症に対する有効率は60~80%と報告されています。
後半規管に対する耳石置換法はエプリー法(エプレイ法)という方法で、外側半規管に対する耳石置換法はグフォニー法という方法を用います。
ここでは耳石置換法を解説致しませんが、GoogleやYahoo、YouTubeで検索すると耳石置換法が多く掲載されております。
ただ、耳石置換法の順序は問題ないのですが、やり方に関してはコツがありますので、やみくもに実施してしまうと効果が出づらくなります。
耳石置換法を実施してめまいが改善された場合、再発率が50%といわれています。これは参考にして頂ければと思います。
当院では、良性発作性頭位めまい症の耳石置換法をおこなっております。ただ、嘔吐がある時はそれを止めなければならないため、その場合は救急か耳鼻科に通院してください。
めまいでお困りの方は、まずはお気軽にお問い合わせ頂ければと思います。
薬剤の使用過多による頭痛は薬物乱用頭痛ともいいますが、とくに多いのが、頭痛の中で最も多い緊張型頭痛や片頭痛などに対して、頭痛薬を使用しすぎることによって起こる慢性の頭痛です。市販の鎮痛薬の使用過多でも起こります。
頭痛薬を服用し数ヶ月にわたって頭痛がある場合は、薬物乱用頭痛の可能性があります。
薬剤の使用過多による頭痛が起こりやすい頭痛薬は、NSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛薬)、アセトアミノフェンというものが多く、NSAIDsは商品名でいうとロキソニン、イブプロフェン、ボルタレン、ナイキサン、セレコックスなど、アセトアミノフェンは商品名でいうとカロナールです。
また、片頭痛の薬であるトリプタン製剤やエルゴタミン製剤でも起こりやすくなります。
以下のような症状がある場合には、薬剤の使用過多による頭痛の可能性が高くなります。
頭痛薬については、医療機関で処方される薬だけでなく、市販の薬も含まれます。
頭痛薬を飲み過ぎると、なぜ頭痛が悪化するのでしょうか?
現在、そのメカニズムは完全にはわかっていません!
ただし、頭痛薬を飲み過ぎることによって、中枢神経系(脳・脊髄)が変化を起こし、痛みに対して敏感になってしまうことが考えられています(中枢性感作)。
脳内には痛みを抑えるシステムが備わっており、おそらく頭痛薬の頻用によりそのシステムに異常が生じて、痛みの調節系がうまく働かなくなっていると思われます。
頭痛を起こしている原因の頭痛薬を服用しないことが一番の治療になります。
ただ、頭痛薬を止めてしまうと頭痛が増悪してしまうことがあるので(反跳痛)、すぐに頭痛薬を止めることは難しいのが現状です。したがって、徐々に頭痛薬を減らしたり、あるいは頭痛のコントロールをするために鎮痛薬を変えたり、漢方を処方されたり様々な方法をすることがあります。
まずは、頭痛専門の医療機関に受診することをおすすめします。
個人差はありますが、頭痛が軽減するのに3ヶ月ぐらいかかることがあります。
当院では、薬剤の使用過多による頭痛の患者様は多く来院されます。
当院での施術は、頭痛専門の医療機関に通院しながら頭痛のコントロールをしていきます。鍼をすることがありますが、鍼が苦手な方は手技療法を行っていきます。
参考にして頂ければと思います。
フレイルとは、簡単にいいますと「加齢により心身が老い衰えた状態」のことをいいます。つまり、医学的には健康な状態と要介護状態の中間の段階で、身体の機能低下により様々な障害を起こしやすい状態となっているというものです。
コロナ禍により高齢者の方は外出する機会が減りました。行動制限や運動不足などによって様々な身体の機能低下が生じて、社会問題となったことがあります。これをコロナフレイルといいます。
今回はフレイルについて解説していきます。
高齢者の方が外出の機会が減り、フレイルになってしまってそれを放置してしまうとどうなるのでしょうか?
上記のイラストをご覧の通り要介護状態になってしまい、最悪の場合は寝たきりや認知症になってしまうこともあります。
そうならないためには、予防をしなければなりません。
上記の5項目のなかで3項目以上該当するとフレイル、1~2項目だけの場合はフレイル前段階と判断します。
フレイルには、体重減少や筋力低下などの身体的変化だけでなく、気力の低下などの精神的変化や社会的変化も含まれます。
また筋力低下に伴って、腰痛や膝の痛み、股関節の痛みなどを起こすことがあります。
フレイルで大事なことは予防になります。日常生活での活動や運動が一番の予防法です。
注意したいことは、近年日本の気候変動により高齢者にとって夏は外出することが困難なことが多く、熱中症の指針では31℃以上の外での運動は原則中止となります。そう考えると、夏に関しては施設(ジムなど)で運動することがいいでしょう。言い換えると、7~9月ぐらいは外出することが厳しく室内にいることが多くなり、フレイルになりやすい季節といえます。
秋の一人で行く登山に関しては、近年の10~11月は熊の出没などの野生動物問題がマスコミに取り上げられていることから、気をつけたほうがいいでしょう。
様々な問題もあると思いますが、よく検討して自分に合った活動や運動を行ってください。
最後にフレイルは家族の協力も非常に大事になりますので、時には強制させることも大事だと私は思っています。是非、参考にして頂ければと思います。
私は小・中学生バレーボールチームでアスレティックトレーナーをしています。アスレティックトレーナーというよりかはメディカルトレーナーといっていいほど、選手のケガ・故障に関してのトレーナーをやっております。
今回は子どもとは逆に、大人のバレーボールでのケガについて解説していきます。
上記のような人について書かせて頂きますが、今回の対象は上記の下2つの方々で35歳以上の方が対象となりますが、とくにケガ率が高い40歳以上の方々は今回の内容は参考にして頂ければと思います。
40歳代以上の人がケガ率が高い一般的な理由としては、今までよりも代謝が下がりやすくなる年代のため、結合組織といわれる体中にある膜が硬くなりやすいためと考えられています。そして、その状態で瞬発的な動きが多いバレーボールを負荷強くやってしまうと、当然ながらケガ率が高くなります。
ただし、身体をケアしていたり、いわゆる身体を鍛えている人は一概にケガ率が高いとは必ずしもいえないということは念頭に入れておいてください。また、20歳代、30歳代だから大丈夫と思っていても、ケガをしないとは言いきれないのでご注意ください。
ちなみにこれはバレーボールとは直接関係ないのですが、体質にもよりますが、基本的に40歳を過ぎると今までよりも代謝が下がってくるので、蓄積された脂肪はだんだん落ちにくくなってきます。そして、さらに年齢を重ねるに従ってそれが顕著に出てくることがあります。実感されている人はいるのではないでしょうか?
ここでの結合組織は内臓や血管などではなく、動作に必要な結合組織として解説していきます。
結合組織とは、組織と組織を繋げているまたは覆っていて支持をしている膜のことをいいます。具体的に動作に関係ある結合組織は、筋肉同士を繋げていたり覆っている筋膜、骨と骨の関節を繋げていたり覆っている関節包・靭帯、腱を覆って筋膜と継がっている腱鞘、骨を包んでいる骨膜、神経を包んでいる神経膜などがあります。
これらの結合組織は痛みを発生させる神経センサーが存在し、言い換えると、これらの結合組織に何らかの異常があると痛みが起きるということです。
成長期である学生時代にバレーボールをやっていた人は、その当時やっていたバレーボールでの練習内容や練習量にもよりますが、年齢を重ねていても当時のバレーボールのプレーの感覚やイメージが脳に刻み込まれていることがあります。しかも、久しぶりにバレーボールをしてそれを継続していくと、その感覚が少しずつ戻ってくることがあります。
しかし実際は、久しぶりにバレーボールをすると身体と感覚がついていかずに上手くいかないことが非常に多いと思います。そこで身体を無理して使ってしまうとケガをしてしまい、小さなケガで済めばまだいいのですが、大ケガするのが一番の注意となります!
ちなみに私はバレーボール経験者ですが、久しぶりにバレーボールをしたら翌日に筋肉痛はもちろんのことですが、左膝の痛みと水が溜まり、さらに右肩の痛み・だるさが増しました。左膝の痛みとしゃがみづらさは約6ヶ月ぐらいかかりました。
気をつけたいバレーボールでの大ケガは主に2つあり、アキレス腱断裂と膝前十字靭帯損傷になります。これは、とくに40歳以上の人でママさんバレー、学校PTAなどでバレーボールをしている人に発生することが多いのでご注意ください。
アキレス腱断裂と膝前十字靭帯損傷はなぜ気をつけたい大ケガなんでしょうか?
それは、回復とプレー復帰に長期間を要するからです!
アキレス腱断裂は手術をしてリハビリを含めるとプレー復帰に約6ヶ月かかり、膝前十字靭帯損傷は手術をしてリハビリを含めるとプレー復帰に約10ヶ月かかります。負傷して数ヶ月は、日常生活や仕事に影響が出てしまうこともありますので、この2つの大ケガだけは注意が必要となります。
できれば起こさないことが一番いいのですが、この2つは突然起きることがあります(膝前十字靭帯損傷は負荷の蓄積で少しづつ傷口が広がっていることが多い)。ジャンプ動作(踏み切り、着地)での発生がほとんどなので、十分にウォーミングアップをした上で、無理なくジャンプ動作をするようにしてください。
アキレス腱断裂と膝前十字靭帯損傷の大ケガ以外ではどのようなケガがあるのでしょうか?
主につき指(骨折や腱断裂も含む)、足首捻挫(骨折も含む)、膝の障害、腰痛、肩の障害、ふくらはぎ肉離れなどがあります。
いずれも一定期間のバレーボールの休止が必要となることもあるので、抽象的な言い方をするなら、無理せず頑張り過ぎないようにしましょう!とくに、日常生活や仕事に影響を及ぼしてしまうケガを起こしたくないのであれば、なおさら無理をしないほうがいいでしょう。
頑張り方は人それぞれ違いますので、自分自身で判断して頂ければと思います。
バレーボールをする前はウォーミングアップをしっかり行い、バレーボールで動かす関節を事前に体操で動かしていきましょう。
終わった後はストレッチをして、硬くならないようにしていきましょう。時間がないときは自宅に帰宅してからストレッチを行いましょう。
方法は様々ありますが、これが最も基本的なケガ予防になることだけを知って頂ければと思います。
最後に久しぶりにバレーボールをやる人は、調子に乗って頑張り過ぎないことと、大ケガに十分気をつけて楽しいバレーボールをして頂ければと思います。
腰椎の後方部分に起こる疲労骨折のことで、成長期(小・中学生)のスポーツ選手に多く起こる疾患です。
一番下にある第5腰椎部に多く発生し、次いで第4腰椎部も発生しやすくなります。
1回の外力で起こるわけではなく、スポーツ動作の中で繰り返しの負荷の蓄積で起こります。どのような負荷の蓄積かといいますと、スポーツ動作の中で腰を反ったり(後屈動作)・捻ったり(回旋動作)を繰り返すことで、腰椎の関節突起間部というところの骨に亀裂が生じて疲労骨折となります。
多くの場合、身体が硬いことが多く、太もも後ろの筋肉(ハムストリングス)や太もも前の筋肉(大腿四頭筋)の緊張があるため、骨盤や股関節の柔軟性が低下し、腰椎にかかる負担が強くなり疲労骨折が起こりやすくなります。また、背骨の胸椎という部分の柔軟性が低下しても起こりやすくなります。
これは医療系の施術者ではなく、スポーツ指導者の方や保護者の方が子どもが腰痛を訴えているときに参考にしてください。
成長期のスポーツ選手が2週間以上腰痛が続いている場合は、整形外科に行って精密検査を受けるようにしてください。
なぜならこれには医学的データがあり、2週間以上腰痛が続いた場合、小・中学生では40~50%、高校生では30%の確率で腰椎分離症であったという報告があるからです。つまり、とくにスポーツ時での小・中学生の腰痛のおよそ半分の確率は腰椎分離症の可能性が高いということがいえるからです。
上記のイラストを参照しながら解説していきます。腰椎分離症の病期分類では、初期 ⇒ 進行期 ⇒ 終末期 の流れの3つになります。初期の前に超初期という病期があるのですが、これはMRI検査でしかわかりません。今どの病期になっているかによって、今後のスポーツの対応が変わっていきます。
整形外科での腰椎分離症の精密検査は、MRIやCTでの画像検査で病期を判断していきます。最初はレントゲン検査を実施されることが多いと思いますが、レントゲン検査では初期がわかりづらいため、詳しい検査をする場合はMRIやCT検査を実施するということになります。もし、レントゲン検査で腰椎分離症が判明した場合は、進行期になっている可能性が高くなります。
腰椎分離症の主症状は腰痛になります。腰を反ったり(後屈)・捻ったり(回旋)すると腰痛が強くなるのが特徴です。腰痛がひどくなると前かがみ(前屈)でも痛みが出ます。
骨が未成熟(とくに小学生)であるほど腰椎分離だけでなく、椎体といわれる部分がすべって進行してしまい、腰椎分離すべり症になりやすくなることが医学的にわかっています。腰椎分離すべり症を起こしてしまうと、腰痛だけでなく、足の痛みやしびれなどの神経症状を起こすことがあります。
一般的には、一定期間のスポーツ休止をして安静をはかり、硬いコルセット(硬性コルセット)を装着して日常生活を過ごし、骨がくっつく(骨癒合)のを待ちます。あるいは、腰痛がなく日常生活とスポーツ活動ができれば腰椎分離症の施術は終了となります。ただ、最終的に日常生活やスポーツ活動に支障が出る場合は手術も検討されることがあります。
施術の最終ゴールは、①骨癒合したとき、②腰痛がなく日常生活とスポーツ活動ができる ことです。一般的に腰椎分離症の初期・進行期は骨癒合する可能性があるため①が施術方針となります。終末期は骨癒合する可能性がないため②が施術方針となります。
一般的に、腰椎分離症の初期では骨癒合率が高いため約3ヶ月のスポーツ休止となり、進行期では骨癒合率が約30~60%で約4~6ヶ月のスポーツ休止となり、終末期では骨癒合率が0%で腰痛が軽減すればスポーツ復帰となります。
成長期のスポーツ選手が約3~6ヶ月のスポーツ休止となった場合、スポーツに対するモチベーションの低下が起こり、最悪はケガで競技を辞めてしまうことに繋がります。そういった意味もあり近年、新たな施術方針が腰痛学会で発表されました。
腰椎分離症の初期・進行期では、腰痛がある場合は腰痛が軽減するまでスポーツ休止をします。通常は約3週間ぐらいで腰痛が軽減していきますので、腰痛が軽減したら、下半身のストレッチ、体幹トレーニングなど、硬いコルセットをして、腰を反ったり、捻ったりをしないようにできる範囲で競技プレーの練習をしていきます(スポーツ完全復帰ではありません)。この時におそらく整形外科で1ヶ月に1回、定期的に骨癒合の状態を画像検査で評価をしていき、状態を確認しながらスポーツリハビリをして、骨癒合していればスポーツ完全復帰となります。
腰椎分離症の終末期では、骨癒合が期待できないため腰痛がなければスポーツを完全復帰させます。スポーツしながら腰痛があるときは、施術やリハビリなどでコントロールをしていきます。
ただし、これは中学生の話しになるので、小学生の場合は無理させてしまうと腰椎分離すべり症になってしまう恐れがあるため、小学生では保護者と相談して判断したほうがいいと思います。
ちなみに私の場合、小学生には無理させません!
以上です。