- Blog記事一覧 -慢性の痛み
まず、ここでは慢性の痛みのことを慢性痛とさせて頂きます。
慢性痛とは医学的に、通常の痛みが取れる期間を超えて持続する痛みとされています。では具体的に慢性痛をどのように判断するかといいますと、3ヶ月以上持続する痛みとされています。
慢性痛の種類には、急性痛を繰り返す慢性痛、急性痛が取れずに遅延化した慢性痛、難治性の慢性痛の3つに分かれています。
近年、難治性の慢性痛は「慢性痛症候群」という病気として捉えられています。
3ヶ月以上持続する痛みを慢性痛とされてますが、長く痛みが続いていることから様々な症状を伴うことがあります。その代表的なものが抑うつ症状です。
痛みというストレスによって抑うつ気分を起こしているのか?、抑うつ症状が身体の痛みとしての症状を起こしているのか?については、現在のところわかっていません。ただ、痛みが長引いている患者様をみていると、程度(軽度~重度)にもよりますが抑うつ状態になっている人は多くおります。
慢性痛が難治化や重症化すると、恐怖や不安などにより破局的思考(ネガティブな感情など)となり、最悪の場合はうつ病になってしまうことがあります。
また慢性痛の人は、痛みが取れないためにドクターショッピング、整(接)骨院ショッピング、整体院ショッピング、鍼灸院ショッピングをする人が多いです。施術をしてすぐに痛みが軽減すればいいのですが、たとえ施術をして痛みが軽減したとしても再び痛みが戻ることが多くあります。慢性痛の程度にもよりますが、基本施術だけで痛みが軽減することは難しいことが多いです。
現在、医学的にいわれている慢性痛のメカニズムは疼痛感作(中枢性感作、末梢性感作)というものが考えられています。
疼痛感作とは、痛みの繰り返しの刺激によって神経が変化を起こし、過敏化をしてしまうことです。具体的なメカニズムは、痛みの悪循環、脳内の痛み抑制システムの機能低下、脳内ドーパミン量の減少などがいわれています。
また、心理社会的要因によって慢性痛を起こしてしまうともいわれています。
慢性痛の考え方を火災で例えるなら、火事があると火災報知器(痛み)が鳴ります。その場合、当然火を消せば火事はおさまります。これが基本的に急性痛の考え方に対し、慢性痛は基本的に火事がなくても火災報知器(痛み)が鳴ってしまっている状態(誤作動)で、火事が起こっていないにも関わらず火災報知器が鳴っているので、当然火を消すことは効果はありません。したがって、火災報知器(痛み)を支配または指令を出している所を修正していくという考え方になります。火災報知器を支配または指令を出している所は、いわゆる神経であり脳になります。
すなわち、慢性痛の施術は痛い場所を施術するだけでなく、脳・神経の機能に対してアプローチをしていくことが必要になります。
慢性痛が施術をして軽減または消失すれば問題ないのですが、慢性痛の程度にもよりますが、基本的には痛みをゼロにすることは困難です。
痛みの軽減は、慢性痛の施術の最終目標の1つではありますが、第1目標ではありません。
患者様の痛みを管理を行いながら、生活の質や日常生活動作を向上させることを施術の目的となります。
代表的な慢性痛は、慢性腰痛、慢性の膝痛、慢性の首の痛みになります。
まず1つ目は、痛みの仕組みを知ること(慢性痛の仕組みを知ること)が大事です。慢性痛はどうやって起こるのか?、慢性痛になると何が問題なのか?など、当院では施術をしながらカウンセリングをしていきます。
2つ目の数年続いている慢性痛でお困りの方に関しては、痛みをゼロにすることは考えないこと(自分の痛みと戦わないこと)で、考え方を変える必要があります。痛みをゼロにすることは非常に難しいため、それを追いかけてもプラスになることはありません!大事なことは、痛みはあるけれど痛みが気にならない日常生活ができることを目指していきます。
最後の3つ目のこれが一番重要と思っていますが、運動することです。慢性痛には運動が積極的に推奨するというエビデンス(科学的根拠)があります。しかし、どのような運動が効果的なのかについては、はっきりとしたエビデンスはありません。ただ、大事なことはどのような運動でも問題ないので、運動を習慣化することです。
以上、慢性痛に関して解説させて頂きました。参考にして頂けばと思います。
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