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スポーツでのケガの記事一覧
私は小・中学生バレーボールチームでアスレティックトレーナーをしています。アスレティックトレーナーというよりかはメディカルトレーナーといっていいほど、選手のケガ・故障に関してのトレーナーをやっております。
今回は子どもとは逆に、大人のバレーボールでのケガについて解説していきます。
上記のような人について書かせて頂きますが、今回の対象は上記の下2つの方々で35歳以上の方が対象となりますが、とくにケガ率が高い40歳以上の方々は今回の内容は参考にして頂ければと思います。
40歳代以上の人がケガ率が高い一般的な理由としては、今までよりも代謝が下がりやすくなる年代のため、結合組織といわれる体中にある膜が硬くなりやすいためと考えられています。そして、その状態で瞬発的な動きが多いバレーボールを負荷強くやってしまうと、当然ながらケガ率が高くなります。
ただし、身体をケアしていたり、いわゆる身体を鍛えている人は一概にケガ率が高いとは必ずしもいえないということは念頭に入れておいてください。また、20歳代、30歳代だから大丈夫と思っていても、ケガをしないとは言いきれないのでご注意ください。
ちなみにこれはバレーボールとは直接関係ないのですが、体質にもよりますが、基本的に40歳を過ぎると今までよりも代謝が下がってくるので、蓄積された脂肪はだんだん落ちにくくなってきます。そして、さらに年齢を重ねるに従ってそれが顕著に出てくることがあります。実感されている人はいるのではないでしょうか?
ここでの結合組織は内臓や血管などではなく、動作に必要な結合組織として解説していきます。
結合組織とは、組織と組織を繋げているまたは覆っていて支持をしている膜のことをいいます。具体的に動作に関係ある結合組織は、筋肉同士を繋げていたり覆っている筋膜、骨と骨の関節を繋げていたり覆っている関節包・靭帯、腱を覆って筋膜と継がっている腱鞘、骨を包んでいる骨膜、神経を包んでいる神経膜などがあります。
これらの結合組織は痛みを発生させる神経センサーが存在し、言い換えると、これらの結合組織に何らかの異常があると痛みが起きるということです。
成長期である学生時代にバレーボールをやっていた人は、その当時やっていたバレーボールでの練習内容や練習量にもよりますが、年齢を重ねていても当時のバレーボールのプレーの感覚やイメージが脳に刻み込まれていることがあります。しかも、久しぶりにバレーボールをしてそれを継続していくと、その感覚が少しずつ戻ってくることがあります。
しかし実際は、久しぶりにバレーボールをすると身体と感覚がついていかずに上手くいかないことが非常に多いと思います。そこで身体を無理して使ってしまうとケガをしてしまい、小さなケガで済めばまだいいのですが、大ケガするのが一番の注意となります!
ちなみに私はバレーボール経験者ですが、久しぶりにバレーボールをしたら翌日に筋肉痛はもちろんのことですが、左膝の痛みと水が溜まり、さらに右肩の痛み・だるさが増しました。左膝の痛みとしゃがみづらさは約6ヶ月ぐらいかかりました。
気をつけたいバレーボールでの大ケガは主に2つあり、アキレス腱断裂と膝前十字靭帯損傷になります。これは、とくに40歳以上の人でママさんバレー、学校PTAなどでバレーボールをしている人に発生することが多いのでご注意ください。
アキレス腱断裂と膝前十字靭帯損傷はなぜ気をつけたい大ケガなんでしょうか?
それは、回復とプレー復帰に長期間を要するからです!
アキレス腱断裂は手術をしてリハビリを含めるとプレー復帰に約6ヶ月かかり、膝前十字靭帯損傷は手術をしてリハビリを含めるとプレー復帰に約10ヶ月かかります。負傷して数ヶ月は、日常生活や仕事に影響が出てしまうこともありますので、この2つの大ケガだけは注意が必要となります。
できれば起こさないことが一番いいのですが、この2つは突然起きることがあります(膝前十字靭帯損傷は負荷の蓄積で少しづつ傷口が広がっていることが多い)。ジャンプ動作(踏み切り、着地)での発生がほとんどなので、十分にウォーミングアップをした上で、無理なくジャンプ動作をするようにしてください。
アキレス腱断裂と膝前十字靭帯損傷の大ケガ以外ではどのようなケガがあるのでしょうか?
主につき指(骨折や腱断裂も含む)、足首捻挫(骨折も含む)、膝の障害、腰痛、肩の障害、ふくらはぎ肉離れなどがあります。
いずれも一定期間のバレーボールの休止が必要となることもあるので、抽象的な言い方をするなら、無理せず頑張り過ぎないようにしましょう!とくに、日常生活や仕事に影響を及ぼしてしまうケガを起こしたくないのであれば、なおさら無理をしないほうがいいでしょう。
頑張り方は人それぞれ違いますので、自分自身で判断して頂ければと思います。
バレーボールをする前はウォーミングアップをしっかり行い、バレーボールで動かす関節を事前に体操で動かしていきましょう。
終わった後はストレッチをして、硬くならないようにしていきましょう。時間がないときは自宅に帰宅してからストレッチを行いましょう。
方法は様々ありますが、これが最も基本的なケガ予防になることだけを知って頂ければと思います。
最後に久しぶりにバレーボールをやる人は、調子に乗って頑張り過ぎないことと、大ケガに十分気をつけて楽しいバレーボールをして頂ければと思います。
腰椎の後方部分に起こる疲労骨折のことで、成長期(小・中学生)のスポーツ選手に多く起こる疾患です。
一番下にある第5腰椎部に多く発生し、次いで第4腰椎部も発生しやすくなります。
1回の外力で起こるわけではなく、スポーツ動作の中で繰り返しの負荷の蓄積で起こります。どのような負荷の蓄積かといいますと、スポーツ動作の中で腰を反ったり(後屈動作)・捻ったり(回旋動作)を繰り返すことで、腰椎の関節突起間部というところの骨に亀裂が生じて疲労骨折となります。
多くの場合、身体が硬いことが多く、太もも後ろの筋肉(ハムストリングス)や太もも前の筋肉(大腿四頭筋)の緊張があるため、骨盤や股関節の柔軟性が低下し、腰椎にかかる負担が強くなり疲労骨折が起こりやすくなります。また、背骨の胸椎という部分の柔軟性が低下しても起こりやすくなります。
これは医療系の施術者ではなく、スポーツ指導者の方や保護者の方が子どもが腰痛を訴えているときに参考にしてください。
成長期のスポーツ選手が2週間以上腰痛が続いている場合は、整形外科に行って精密検査を受けるようにしてください。
なぜならこれには医学的データがあり、2週間以上腰痛が続いた場合、小・中学生では40~50%、高校生では30%の確率で腰椎分離症であったという報告があるからです。つまり、とくにスポーツ時での小・中学生の腰痛のおよそ半分の確率は腰椎分離症の可能性が高いということがいえるからです。
上記のイラストを参照しながら解説していきます。腰椎分離症の病期分類では、初期 ⇒ 進行期 ⇒ 終末期 の流れの3つになります。初期の前に超初期という病期があるのですが、これはMRI検査でしかわかりません。今どの病期になっているかによって、今後のスポーツの対応が変わっていきます。
整形外科での腰椎分離症の精密検査は、MRIやCTでの画像検査で病期を判断していきます。最初はレントゲン検査を実施されることが多いと思いますが、レントゲン検査では初期がわかりづらいため、詳しい検査をする場合はMRIやCT検査を実施するということになります。もし、レントゲン検査で腰椎分離症が判明した場合は、進行期になっている可能性が高くなります。
腰椎分離症の主症状は腰痛になります。腰を反ったり(後屈)・捻ったり(回旋)すると腰痛が強くなるのが特徴です。腰痛がひどくなると前かがみ(前屈)でも痛みが出ます。
骨が未成熟(とくに小学生)であるほど腰椎分離だけでなく、椎体といわれる部分がすべって進行してしまい、腰椎分離すべり症になりやすくなることが医学的にわかっています。腰椎分離すべり症を起こしてしまうと、腰痛だけでなく、足の痛みやしびれなどの神経症状を起こすことがあります。
一般的には、一定期間のスポーツ休止をして安静をはかり、硬いコルセット(硬性コルセット)を装着して日常生活を過ごし、骨がくっつく(骨癒合)のを待ちます。あるいは、腰痛がなく日常生活とスポーツ活動ができれば腰椎分離症の施術は終了となります。ただ、最終的に日常生活やスポーツ活動に支障が出る場合は手術も検討されることがあります。
施術の最終ゴールは、①骨癒合したとき、②腰痛がなく日常生活とスポーツ活動ができる ことです。一般的に腰椎分離症の初期・進行期は骨癒合する可能性があるため①が施術方針となります。終末期は骨癒合する可能性がないため②が施術方針となります。
一般的に、腰椎分離症の初期では骨癒合率が高いため約3ヶ月のスポーツ休止となり、進行期では骨癒合率が約30~60%で約4~6ヶ月のスポーツ休止となり、終末期では骨癒合率が0%で腰痛が軽減すればスポーツ復帰となります。
成長期のスポーツ選手が約3~6ヶ月のスポーツ休止となった場合、スポーツに対するモチベーションの低下が起こり、最悪はケガで競技を辞めてしまうことに繋がります。そういった意味もあり近年、新たな施術方針が腰痛学会で発表されました。
腰椎分離症の初期・進行期では、腰痛がある場合は腰痛が軽減するまでスポーツ休止をします。通常は約3週間ぐらいで腰痛が軽減していきますので、腰痛が軽減したら、下半身のストレッチ、体幹トレーニングなど、硬いコルセットをして、腰を反ったり、捻ったりをしないようにできる範囲で競技プレーの練習をしていきます(スポーツ完全復帰ではありません)。この時におそらく整形外科で1ヶ月に1回、定期的に骨癒合の状態を画像検査で評価をしていき、状態を確認しながらスポーツリハビリをして、骨癒合していればスポーツ完全復帰となります。
腰椎分離症の終末期では、骨癒合が期待できないため腰痛がなければスポーツを完全復帰させます。スポーツしながら腰痛があるときは、施術やリハビリなどでコントロールをしていきます。
ただし、これは中学生の話しになるので、小学生の場合は無理させてしまうと腰椎分離すべり症になってしまう恐れがあるため、小学生では保護者と相談して判断したほうがいいと思います。
ちなみに私の場合、小学生には無理させません!
以上です。
肩が痛い、肩がだるい、肩が上げづらいなどを訴えることがある1つに肩甲上神経障害というものがあります。肩甲上神経障害は肩甲上神経麻痺といわれることもあり、オーバーヘッド動作(腕を上げた状態で回す動作)をするスポーツに多い障害です。
とくにスポーツ動作では、バレーボールのスパイクやジャンプサーブでの繰り返しの負荷、野球の投球動作での繰り返しの負荷で起こりやすくなります。
年代では、大学生以上に多いのが個人的な印象です。
私はバレーボールをやっていて、21歳の時にジャンプサーブを打った瞬間に右肩が痛くなり、その後バレーボールでスパイクを打つたびに右肩が痛くなっていました。26歳から右肩が痛くなるため、バレーボールをやらなくなりましたが、私が肩甲上神経障害ということをつい最近知りました!また、「バレーボールショルダー」といわれることについてもつい最近知りました。
以前までは、肩甲上神経障害という疾患はあまり知られてなく、スポーツ医学が進歩するにつれて明らかになってきたと思われます。
肩甲上神経の通り道である肩甲骨の肩甲切痕または棘窩切痕という場所で、絞扼(締めつけられる)、圧迫されて肩の痛み、腕のだるさ・棘下筋の筋力低下を起こしてまう疾患です。
肩甲上神経障害では棘下筋の筋力低下を起こすため、肩関節を支えている筋群(インナーマッスル)である4つの腱板(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)の筋バランスが崩れてしまい、腕を水平以上に上げたときに上腕骨と肩甲骨とで挟まれ衝突される現象が起きてしまい、肩に痛みを起こしてしまうことがあります。この現象を肩インピンジメント症候群といいます。
棘下筋や棘上筋に対してEMSという電気療法をして筋力を維持させていきます。また、鍼に電気を流す鍼通電療法も1つの方法です。
アスレティックリハビリテーション(略すとアスリハ)でチューブを使った肩のインナーマッスルエクササイズや、肩甲骨まわりの動きを高めるエクササイズを行っていきます。
肩甲上神経障害は、回復するのに6ヶ月~1年ぐらいかかってしまうことがあるので長期を要します。もしくは、スポーツをするたびに慢性的な経過をたどることも多い疾患です。
本格的にスポーツをしているアスリートでは、6ヶ月経過して症状に変化がない場合は、手術も考慮します。その場合は、肩専門の整形外科に通院することをおすすめします。
スポーツをしている人、またはスポーツをしていた人は足首捻挫を一度は起こしたことがあると思います。私は現在、小・中学生バレーボールチームのアスレティックトレーナーでもあるので、バレーボール選手に多いケガの中でも足首捻挫は非常に多く発生します。
足首捻挫は医学的に「足関節捻挫」「足関節靭帯損傷」といいますが、一般的には足首を外側に捻ってしまい(内反捻挫・内返し捻挫)、関節を安定させる役割のある靭帯を損傷することです。
足首を内側に捻ってしまう外反捻挫・外返し捻挫というものもありますが、圧倒的に内反捻挫・内返し捻挫のほうが頻度が多いので、ここでは内反捻挫についての解説を踏まえながら、最新知見について解説していきたいと思います。
足首捻挫で損傷されやすいのは外側にある靭帯です。足首捻挫には重症度分類というものがあり、その分類の中で一番損傷されやすい外側の靭帯は前距腓靭帯(ATFL)です。さらに損傷程度が強いと踵腓靭帯(CFL)が損傷されます。
また、外側の靭帯だけでなく場所によっては、前脛腓靭帯または二分靭帯が損傷されることもあります。
足首を外側に捻ってしまうと靭帯の損傷だけではなく、外くるぶし(腓骨外果)の骨折が起こることがあります。とくに多いのは外くるぶしの剥離骨折になります。
足首捻挫を起こした後に自分で立つことができなかったり、患部の足が痛みで地面に衝けることができず歩行している場合は、骨折の可能性を考慮します。
とくに小・中学生では、成長期で外くるぶしの骨に成長軟骨があって柔らかくなっているため、靭帯が損傷するよりも外くるぶしの剥離骨折を起こすことがあります(レントゲン検査でわからないこともある)。
では、骨折の疑いがある時はどのような方法で判断をするのでしょうか?
それは、スポーツ現場でも使われているオタワアンクルルール(オタワ足関節ルール)という方法で評価をしていきます。
オタワアンクルルールとは、カナダのオタワ市民病院の救急医チームによって公開された足首捻挫における骨折の有無を判断する際に使用する評価法です。
【オタワアンクルルール(オタワ足関節ルール)】
・足首の内くるぶし(脛骨内果)6㎝上までの骨の圧痛(押したときの痛み)
・足首の外くるぶし(腓骨外果)6㎝上までの骨の圧痛
・舟状骨の圧痛
・第5中足骨の圧痛
・受傷後すぐに4歩歩けるか
Google AIより
上記の中で1つでも当てはまったら、足首捻挫による骨折の可能性があると考えます。その場合、整形外科に来院してレントゲンやエコー検査で患部を確認します。
足首捻挫の重症度分類は以下の通りとなります。
Ⅰ度(軽症) ⇒ 靭帯が引き伸ばされた状態、痛みと軽度の腫れ、血腫はほとんどみられない
Ⅱ度(中等症) ⇒ 靭帯の部分断裂で、腫れや関節運動も制限される、血腫あり
Ⅲ度(重症) ⇒ 靭帯の完全断裂で、関節が不安定であり、症状の程度が強い
ちなみにスポーツ復帰に関しては、Ⅰ度(軽症)の程度が本当に軽ければ約3日~1週間で復帰できますが、基本的にはⅠ度(軽症)は約2~3週間、Ⅱ度(中等症)は約3~4週間、Ⅲ度(重症)は約1ヶ月~2ヶ月ぐらいでの復帰になります。
約10年前まで施術やスポーツ現場では、足首捻挫の処置法はRICEといわれる患部の処置をしていました。RICEとは頭文字をとって、R(安静)、I(アイシング・冷やす)、C(圧迫する)、E(心臓より足を高く上げる)のことです(英語は省略させて頂きます)。その後、RICE処置からPRICE処置となり、頭にP(保護・固定)が付け加えられました。
近年は、PRICE処置からPOLICE処置という考え方になってきており、POLICEとは頭文字で、P(保護・固定)、OL(最適な負荷)、I(アイシング・冷やす)、C(圧迫する)、E(心臓より足を高く上げる)になります。
近年変わった点は、Ⅰ度(軽症)・Ⅱ度(中等症)の足首捻挫の場合、患部の足首を保護・固定した時に安静にしているより、足を衝いて歩いて日常生活を過ごしているほうが成績がいいといわれています。すなわち、損傷している靭帯に最適な負荷をかけているほうが成績がいいということになります(曖昧な表現ですが、最適以上の負荷は傷口をひろげてしまうことがあるので注意)。
ただし、Ⅲ度(重症)の足首捻挫は別です!
2015年ぐらいから日本のスポーツ界のトレーナーの中では、アイシングの必要性について賛否両論があります。これは足首捻挫だけのことではなく、全てのケガや故障についてのアイシングの必要性についての賛否両論になります。
様々な賛否両論がありますが、とくにいわれているのは、賛成派はアイシングすることで痛みが感じにくくなるというメリットがあるのに対し、反対派はアイシングすることで血管を収縮させて血流を行きづらくなり、組織の再生が遅れて結果的に治りが遅くなるということです。
個人的にはどちらも賛成ですが、私的なアイシング理論は、足首捻挫を例にすると負傷した日のみアイシングをして、翌日以降はアイシングは一切致しません。ちなみ慢性の故障については、アイシングは一切致しません。
参考にして頂ければと思います。
バレーボールを例にして足首捻挫の問題についてですが、それは患部の固定期間の長さの問題です。
実際、高校生バレーボール選手を数名みてきたのですが、固定期間が長すぎると足首が硬くなってしまい、後々復帰した時にパフォーマンス低下ヲ起こしてしまいます。
どのようなパフォーマンス低下を起こすのかというと、足首が硬くなったままの状態でジャンプをするとケガする前と比べて、ジャンプ力が低下してしまいます。つまり、足首が硬くなるということは、ジャンプするときに足首のしなりがしづらくなるということです。バレーボールのスパイカーにとっては致命傷といってもいい問題となります。
したがって、とくにギプスやシーネでの患部の固定期間は、足首が硬くならないように考慮する必要があり、さらに早期の足首の可動域訓練をすることも考慮しなければなりません。足首が硬くなっても元に戻れば問題ないのですが、戻りが遅い、あるいは戻らないことはバレーボール選手だけでなく、他のスポーツ選手には避けなければなりません!
一度、足首捻挫を起こして再び同じ足首を捻挫する人の確率は、しっかり処置や施術を行った場合でも約30%いるといわれています。もし処置や施術をおろそかにして、なおかつスポーツをしている人の場合は、さらに再発率は上がると予想されます。つまり、足首捻挫は再発しやすい!ということです。
初回に足首捻挫を起こした後に、徐々に損傷された靭帯が再生をしていきます。その時に損傷された靭帯が緩んだまま再生すると、足首の内反・内返しがさらにいきやすくなり、さらに足首捻挫を起こしやすくなります。再発をしないために靭帯の緩まないように保護・固定をしていくのですが、実際は難しいです。
損傷された靭帯は受傷後6週間前後までに修復され、その後構築を繰り返し、約6~12ヶ月(最大1年)で靭帯の強度が高まります。すなわち、負傷して約6~12ヶ月ぐらいは足首捻挫が再発する可能性があります。
したがって、とくにスポーツする人は足首捻挫が良くなっても、約6~12ヶ月ぐらいは足首サポーターをして足首捻挫を防止しながらプレーをしたほうがいいでしょう。
私の場合、足首サポーターをして1年以上足首捻挫を起こしていなければ、足首サポーターを外します。
以上で、足首捻挫の最新知見について書かせていただきました。是非参考にして頂ければと思います。
バレーボールで助走してジャンプをしながらボールを打つことをスパイク(アタックともいう)といいます。
スパイク動作にはおおまかに「助走 ⇒ ジャンプ動作 ⇒ スイング動作 ⇒ ジャンプ着地」の一連の動作があり、バレーボールでは繰り返しスパイク動作をするため、身体の故障を起こしやすいのは主にスイング動作とジャンプ着地になります。
この故障を起こしやすいスイング動作とジャンプ着地について解説していきます。
一般的にバレーボールのスパイク動作でのスイング動作には主に3つがあります。
最初にいっておきますが、どのスイングが良いかは利点と欠点があり、このスイングをしたほうが良いというものはありません。
それを頭に入れて頂き、1つずつスイング動作について解説していきます。
これから1つずつスイングの解説をしていきますが、全て右打ちの人を例として書いていきます。
ストレートアームスイングは、バックスイングからジャンプをして両手を同時に振り上げて、右肘を折りたたみながら右腕を引き、そこからボールをインパクトする(打つ)スイングになります(下記イラスト参照)。
日本ではバレーボールのスイング動作で一番多く使用されているのが、このストレートアームスイングになります。また、日本のバレーボール指導ではこのスイング動作を教えることが多くあります。
利点としては、身体の空中バランスが安定されやすくインパクトした瞬間にミート(手に平にしっかり当たる)しやすいこと、コースを狙って打ち分けしやすいこと、クイック攻撃のスパイクを打つ時に素早く打てることです。
欠点としては、このスイングは両手を上げているために身体を捻る動きが少なく(背骨の柔軟性が高ければ話しは別ですが)、打数が増えると腰を反る動作が繰り返されるため、とくに成長期の選手は腰椎分離症を起こしやすくなります。さらにいえば、必ずしもボールが良いトスが全て上がってくることはないため、タイミングがズレてスイングのフォームが乱れてしまい、腰に負担がかかってしまいます。また、レシーブ側からすればディグ(スパイクレシーブのこと)の時にコースが読みやすいスイングでもあります。
パフォーマンス的には素晴らしいスイング動作なのですが、スパイクを打ち過ぎると長期間のバレーボール休止を余儀なくさせてしまうケガになりやすいこともいえます。
バックスイングからジャンプをして両手を同時に振り上げるところまではストレートアームスイングと同じですが、そこから右の手の平を外側に向けて回しながらボールをインパクトするスイングになります(夏季イラスト参照)。
利点としては、ストレートアームスイングよりも腕を回すためスパイクの威力が上がりやすいこと、相手がレシーブ(ディグ)をする際に打った瞬間にコースが読みにくいスイングであること、身体の反り動作は少なく捻りの動きが入るためストレートアームスイングよりも腰の負担はかかりにくくなることです(打数を打てば腰の負担はかかってきます)。
欠点としては、慣れないとミートがしづらいこと、クイック攻撃の打つタイミングが遅れること(コースの打ち分けはしやすい)、慣れないとインパクトの瞬間にタイミングが合わず肘が下がりやすくなることです。
サーキュラーアームスイングは、バックスイングからジャンプをして左腕は上げながら右腕はぶん回してボールをインパクトするスイングになります(イラスト参照)。ジャンプサーブを打つ選手に多いスイングです。
利点としては、スパイクの威力がスイングの中で一番出やすいこと、相手がレシーブ(ディグ)をする際に打った瞬間にコースが読みにくいスイングであること、身体の捻りの動きがメインでスイングするため腰への負担が一番少ないことです(腰痛が少ないスイング)。
欠点としては、慣れないとミートしづらいこと、小・中学生には筋力的に習得が難しいスイングであること、慣れないとインパクト時に肘が下がりやすいことです。
スパイクの3つのスイングでの利点・欠点について説明させて頂きましたが、次はインパクト時の肘下がりフォームと前腕の回内+上腕の内旋フォームについて説明します。
3つのスイング動作で気をつけたいのが、インパクト時に肘が下がる(基本は肘を伸ばして打ちます)、あるいは前腕の回内+上腕の内旋でスパイクを繰り返し打ち続けていると、肩の障害に繋がることがあります。主な肩の障害としては、肩インピンジメント症候群、肩甲上神経障害になりやすく、高校生以上に発生することが多いのが特徴となります。
とくに、スパイク打数が多い選手はご注意ください。
スイング動作は以上で、次はジャンプ着地についてです。
スパイクでのジャンプ着地では、膝の障害が一番起こりやすくなります。とくに繰り返しの負荷の蓄積で起こりやすくなります。
気をつけたいのが、膝がつま先よりも内側に入ってしまうニーインでのジャンプ着地です。なぜ気をつけないといけないのかというと、ニーイン着地の繰り返しで負荷が蓄積されると膝前十字靭帯損傷を起こしてしまう可能性があるからです。もちろん、ジャンパー膝(膝蓋腱炎)を起こすこともありますが、膝前十字靭帯損傷は長期離脱(約10ヶ月)してしまうケガですので、一番注意が必要になります。
とくに、中学生以降の女子選手はニーイン着地になりやすい傾向にあるため、ジャンプ着地を修正していく必要があります(今回はジャンプ着地修正方法は省略させて頂きます)。
最後に、スパイク動作をする際に常に正しいスイング動作または正しいジャンプ着地を行うことは、ほぼ不可能といっていいでしょう。
なぜなら、練習でもゲーム(試合)でも常に良いトスが上がるとは限らないからです。悪いトスもしっかりスパイクしなければいけないので、そうなってくるとスパイクフォームは必ず崩れてきます。
様々なトレーニングはもちろん重要ですが、ケアも重要となってきます。
是非参考にして頂ければと思います。